【獣医師監修】愛犬とのスキンシップで皮膚トラブルが分かる?
仕事や家事を終えてから、かわいい愛犬と触れ合う時間は本当に至福のときですよね。
その動作・しぐさのひとつひとつに心から癒されている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
せっかくの触れ合いタイムですが、楽しくスキンシップをとるだけでなく飼い主さんの心がけ一つで、愛犬のトラブルを早く見つけることができる、お役立ちタイムになることはもうご存知ですよね。
前回の愛犬とのスキンシップに関する記事はこちらから↓

今回はもっともスキンシップによるトラブル予防効果のある、「皮膚」のお話です。
愛犬とのスキンシップで分かる見た目の異常
皮膚の病気は「赤み」「脱毛」「かゆみ」など、「なんだかいつもと違う!」ことに気づきやすいですね。
以下の異常のことを知っておくと、より早く見つけることができますよ。
- 周りの皮膚に比べ赤くなっているところがある
- 白く粉を拭いたような、またはフケがある
- いつもはないアザがある
などは皮膚が炎症を起こしているサインかもしれません。
また、ぷつぷつと湿疹や腫れが出ているのも、皮膚が異物に対して反応を起こしている結果です。
その部分を中心にわんちゃんがしきりになめたり、咬んだりしているようなら、かゆみや痛み、違和感を感じていることが考えられ、やめさせないとよりひどく悪化してしまう可能性があります。
愛犬とのスキンシップで分かる臭いの異常
もちろん犬には体臭がありますが、いつものそれとは違う脂っこい臭い、つんとするような臭いが体全体からするようなら注意が必要です。
外部からの刺激に対して皮膚を守るバリア機能が低下してしまっているのかもしれません。
- 前回シャンプーしたのはいつでしょう?
2週間以上経っているようなら、まずは丁寧に洗って体についている汚れを洗い落とし、しっかり乾かしてみましょう。
シャンプーする時間が取れないようなら、ぬるま湯をしっかりしぼったタオルやドライシャンプーで体全体をふいてブラッシングをしてみましょう。
それだけで改善することもありますよ。
愛犬とのスキンシップで分かる触り心地の異常
見た目は普通、臭いもそんなに気にならない。
だけど、
- とにかく触ると手がべたべたする
- 毛がごそっとぬける
- 皮膚がなんだかごわごわしている
- 皮膚がなんだかごわごわしている
- ぺらぺらしたりあまり弾力のない感じがする
・・・これもやはり皮膚のトラブルのサインです。
愛犬本人は気にしていなくても、抜け毛や皮膚の質感の異常はかゆみと関係なくどんどん進行してしまうことがあり、治療のタイミングを失うとなかなかもとには戻らなくなってしまうこともあるのです。
どの異常も簡単にチェックできそうですよね。
実際これらの異常は皮膚の病気によく見られる一方で、一つではなくいくつもの異常が同時に見られることもあるかもしれません。
というのも、皮膚の病気の原因は一つではなく、いくつもの原因が絡まり合っていることもあるからです。
皮膚のトラブルの原因は大きく二つに分けることができます。
犬の皮膚が原因であるもの
皮膚そのものが炎症や感染を起こしているものです。
- 細菌感染症:皮膚には常在菌と言われるもともと存在する細菌があり、普段は炎症を起こすことなくバランスをとった状態を保っています。しかし、湿気や温度、不十分な衛生状態などによりそのバランスが崩れてしまうことで、炎症を起こします。
また、そのバランスが元に戻るまえに他の細菌にも感染してしまうことで、より治療は困難になることがあります。 - 真菌感染症:いわゆるカビや酵母が、皮膚のバリア機能を突破し感染を起こしてしまった状態です。細菌性皮膚炎にくらべあまりかゆみはありませんが、脱毛やフケが目立つようになってきます。
また一部のものは同居の動物や人間にも感染するため、こまめなケアや掃除が必要になります。 - 寄生虫感染症:ノミやダニ、毛包虫など皮膚や毛根に寄生する虫による皮膚感染症です。強いかゆみを伴い、しつこく掻いてしまうため、寄生虫の駆除と炎症を抑える治療を同時に行うことになります。
犬の皮膚以外が原因であるもの
そもそもの原因は皮膚以外にあり、その病気の症状のひとつとして皮膚の異常が見つかるものです。
- ホルモン(内分泌)の病気:体の中にはさまざまなホルモンがあり、どれもがバランスをとって働いています。しかしこのホルモンの分泌が過剰になってしまったり、反対に極端に少なくなってしまうと、毛が抜けたり皮膚が活力を失いカサカサしたりごわごわしたりすることがあります。重症になると皮膚の表面の血行が悪くなるため、カサブタのように変化してしまった皮膚が脱落することもあります。
犬自身にはかゆみは出づらく、元気がない、水をよく飲む、などの他の症状のほうが目立つことがよくあります。 - 内臓の病気:腎臓や肝臓、腸などと同じように、皮膚も実は臓器のひとつです。他の臓器と同じように血管から栄養を受け取り、新陳代謝を行っているのですが、皮膚は他の臓器に比べそのトラブルが命にかかわるようなことはなかなかありません。
そのため、老化や病気で内臓機能が衰えてくると、まずは一番命に関わらない皮膚への栄養供給が滞ることがあります。大事な部分への血液や栄養の循環が優先されるんですね。
皮膚の病気かと思っていたら、じつはそれ以上に腎臓や肝臓の機能が低下していた・・・なんていうことも考えられるのです。 - 免疫の病気:アレルギーのような急性の自己免疫反応のひとつとし、じんましんのようなぼこぼこした腫れが急にあらわれたり、血液機構の異常であざがいくつも浮かんできたりすることがあります。
たいていの場合は急に起こるものであり、みるみるうちに広がっていくこともあります。急激に変化するトラブルには様子を見ず、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
獣医師から最後に
皮膚は飼い主さんご自身が確認することのできる唯一の臓器です。
そして皮膚そのものだけでなく、体の中で起きている異常を表していることもあることがお分かりいただけたでしょうか?
毎日のスキンシップの中で、皮膚の状態をちょっとの意識で確認することが、愛犬の健康管理に大きな効果を発揮します。ぜひ心がけてみてくださいね。